12月6日土曜日、テレビ朝日でドラマ「男装の麗人 川島芳子の生涯」が放映された。 川島芳子。清朝末の皇族粛親王善キの第14王女だ。 7歳で、清朝再興をたくらむ大人たちの手で、大陸浪人・川島浪速の養女となった。 幼いときから大人たちの政治的な思惑に…
私はシンガポール出身で、香港と東京で長年暮らしています。 通信員で、中国語の新聞記事を書いています。 採用されることは少ないけれど、日本語・英語の記事も書きます。 李香蘭は、母の世代からよく聞かされてきました。 日本に来てから、李香蘭に関心を…
この夏、暑かったけれど、とても活動的な過ごし方をした。 きっかけは、このブログのオフ会。 はじめは中心メンバー5人が呑んだだけなのだが、2回目、3回目と日を改め数回集まった。 友達の友達というふうに集まったのだが、思わぬ収穫も多かった。 その…
黒澤明監督の「醜聞 スキャンダル」(50年 松竹作品)を見ました。 もちろん、山口淑子が出ているから。 驚いた。 はっきり言って駄作。 でももっと驚いたのは、山口淑子のまあすさまじい大根ぶり。 彼女はもしかして、いつもあの美貌を見せるだけでよしとさ…
父は今年91歳。いまも上海で健在です。旧正月に帰省した折、ぼくが持っていた『李香蘭の恋人』(田村志津枝著)に興味を示したので、父にプレゼントしました。父は若い頃に、3年半の日本留学経験がありますが、その後は日本とは無縁の生活でした。 ところが…
岩崎昶は1935年に上海に行き、映画館で「漁光曲」(蔡楚生監督)という映画を見た。貧しい漁民の生活がリアルに描かれていた。岩崎は帰国すると日本の映画雑誌にこの映画のことを書き、絶賛した。岩崎は当時の中国映画を評価していて、岩崎の映画批評を魯迅…
李香蘭が1943年に「サヨンの鐘」のロケのために台湾を訪れたとき、彼女のマネージャー役兼ラインプロデューサー役をしていたのは岩崎昶だ。 岩崎昶は左翼的な思想をもった映画評論家で、「映画法」に反対したため治安維持法によって逮捕され、1年ほど獄中体…
台湾で「李香蘭的戀人」が話題になっているのは、僕も知っている。 この本がきっかけになって、意義のある議論も展開されているようだ。 李香蘭が劉吶鴎の墓参りのために劉家を訪れたとき、邸宅の前で劉家の一同とともに撮った写真は、台湾では、1943年に撮…
台湾でも、「李香蘭的戀人」が話題になっているようだ。 探してみたら、いくつかのブログがみつかった。 けれど、ちゃんと読んでいるのかしら、と思われるような誤解も目につく。 なかでも、重要なのを取り上げたい。 著者の田村志津枝さんが、山口淑子さん…
江文也という作曲家で声楽家だった人のことは、日本ではあまり知られていない。 台湾出身で、中学時代から日本で学び、大学は理工系だったものの、結局好きだった音楽を生涯の仕事とした。 戦争中には華やかな活躍を見せた。山田耕筰を追うほどの勢いで作曲…
朝日新聞や週刊朝日での、山口淑子インタビュー記事がしばらく話題になっていた。 そこで僕は、これらの記事を詳細に読んで分析してみた。 そして得た結論は、李香蘭はバカにされている、ということだ。 李香蘭は、人気絶頂のときも実は、日本のマスコミでは…
劇団四季公演の「ミュージカル李香蘭」がまもなく楽日だそうだ。 それにからんでだろうか、週刊朝日の連載記事「昭和からの遺言」に「山口淑子 元女優・李香蘭」のインタビュー記事が掲載された。 週刊朝日なぞ、ついぞ読んだことがなかったが、新聞広告で見…
ゴールデンウィークとはいえ、あまり休みには縁がない。 仕事の性格上、こういうことはすでにあきらめの境地です。 でも、気分が少しゆったりしているらしくて、珍しく日本映画専門チャンネルなど見ました。 そしたら、美男俳優シリーズ、池部良のコーナーで…
「ミュージカル李香蘭」再演にあたって、朝日新聞夕刊で山口淑子が語っている記事について、私の疑問を書きます。 このことは、田村志津枝さんの著書「李香蘭の恋人」でも、あまり明確にはかかれていません。 朝日新聞で、山口淑子はつぎのように語っていま…
李香蘭主演の「支那の夜」が大ヒットしたのは、1940年だ。 李香蘭は一躍人気スターになった。 この映画で李香蘭が演じるのは、家を焼かれてその日暮らしの中国人少女だ。 彼女は上海にどかどかと踏み込んでくる日本人に激しい憎悪を抱いていた。 ところがふ…
戦争を起こした側、植民地統治などの圧政を敷いた側は、そうした蛮行を行った土地について、無邪気に追憶など語れない。 僕は、そう思っている。 ああいう時代だったから、自分はやむを得ず戦争にくわわってしまった。 あのときには、ああするしかなかった。…
3月から4月にかけて、劇団四季が「ミュージカル李香蘭」を再演したそうですね。 どんなようすだったか、見に行かれた方は教えて下さいな。 私は、珍しくメチャ忙しくて行かれませんでした。 とそんなところへ、なんと大きい新聞広告。 新聞の見開き2頁の…
李香蘭が、台湾をどう見ていたのかというのは、非常に興味深いテーマだと思う。 「李香蘭の恋人 キネマと戦争」にも、李香蘭の台湾をめぐる不可解な行動が描かれている。 1941年に、李香蘭が台湾へ巡業に行ったときのことだ。 その前年に「支那の夜」が大ヒ…
このブログを、面白いのでずっと読んでいました。けれどいつまでも私の考えを代弁してくれる人がいないので、ついに頼んで書かせてもらいます。 李香蘭は台湾でもとても人気があります。 いまでも李香蘭の昔のレコードを大切にしている人もいます。 けれども…
探している本があるので、いくつかの書店をハシゴした。 私が欲しいのは歴史書だ。ついでに「李香蘭の恋人」の有無を見てみたら、たいていの書店で「映画」のコーナーに置かれていた。 そうか、私は歴史に興味があるけれど、この本は一般的には映画の本とい…
アン・リー監督の「ラスト、コーション」を見た。原題は「色・戒」だ。 この映画は、2007年ヴェネツィア映画祭でグランプリを獲得している。 アン・リーって、ほんとについている。というか、今の世に受ける何かを持っている。 舞台は1942年、日本占領下の上…
中国と日本のあいだには、多くの齟齬がある。 それらは僕らの手でひとつずつ解消していかなければならないと思っている。 けれど、言うは易く行うは難し、である。 だからこそ、何かちょっと問題が起きるたびに、一触即発の雰囲気になってしまう。 この齟齬…
はじめまして。王栄と申します。 東京の某私立大学大学院博士課程を終えて、日本で20年暮らしました。 しかし、希望の就職ができなかったので上海に戻り、いまは東京・上海半々ぐらいの生活です。 先日友達に紹介されて「李香蘭の恋人 キネマと戦争」(田村…
やはりこのブログを再開することにしました。 というよりも、私たち3人のあいだでは、中断したという意識もそれほどありません。 さかんに意見交換もしていましたし、仲間も何人か増えました。 再開にあたって、ブログの執筆者が増えました。 ここではとく…
しばらくこのブログをお休みしていたが、やはり再開しようかと思い始めた。 というのも、劇団四季の「ミュージカル李香蘭」の再演が、新聞の全面広告で報じられたからだ。 2月から4月までらしい。 日本軍が映画工作のために作り出した李香蘭は、日本の敗戦…
このブログに、さまざまなご意見をお寄せ下さって、ありがとうございます。 私たちは、「李香蘭の恋人 キネマと戦争」という本を大変面白いと思い、しかしその複層的で複雑な内容を読み切るのは難しいとも思い、このブログを始めました。 本の中の疑問点、面…
ごめんなさい。また忘年会の話で。 我らが売れない女優仲間の一人で、メキシコにまで流れていったサッチャンが、数年ぶりで帰国。で、また集合したわけ。 コンちゃんが、再び「李香蘭の恋人」の話を持ち出した。 コンちゃんは、劉吶鴎暗殺時に、李香蘭は上海…
「李香蘭の恋人」には、たくさんの台湾人が登場する。 もちろん、主人公の劉吶鴎も台湾人だ。 台湾人を登場させることで、この本は、李香蘭の知られざる側面を描き出すことに成功している。 知られざる側面のひとつは、李香蘭が植民地統治にいかに有効に利用…
友達の友達に、チャイナドレスのコレクターがいる。 年末大掃除を手伝うという名目で、コレクションを見せてもらうという幸運に恵まれた。 中国では文革中に、きれいなチャイナドレスなど持っていると旧思想の持ち主と見なされて危ないということで、各家庭…
「李香蘭の恋人」には、たくさんのバイプレイヤーが登場する。 それも立派に主役をはれそうな人たちが、ぞくぞくと。 映画界のビッグな顔ぶれはいいとして、政財界のVIPがこれほど顔を並べるのは、李香蘭が時の権力に庇護された存在だったことを如実にあらわ…